「海の中を見てみたい」
釣り人なら誰しも、一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。特に魚がいるかどうかも分からない状況では、いっそカメラを沈めて確かめたくなりますよね。魚だけでなく、海底の起伏や障害物を目視で確認できれば、ポイント攻略にも直結します。
ただし、水中撮影は陸上と勝手がまったく違います。「とりあえずGoProを沈めればいい」と考えていると、ほぼ確実に失敗します。
この記事では、水中撮影特有の制約を押さえたうえで、目的別におすすめの機材を紹介します。
結論:目的別の早見表
釣りに使うカメラといっても人によって様々な目的があると思います。下記の表を参考に自分の用途にあったものを選んでください。
| 目的 | カメラ | リアルタイム視聴 | 価格帯 | 代表機種 |
|---|---|---|---|---|
| 陸上撮影と兼用で浅場で撮影したい | アクションカム | × | 5〜7万円 | GoPro HERO13 / Osmo Action 6 / Ace Pro 2 |
| 水中撮影ですべての範囲を撮影したい | 360度カメラ | × | 9万円前後 (本体+潜水ケース) | Insta360 X5 |
| ヒットシーンを撮影したい | 仕掛け直付け型カメラ | × | 実勢価格は要確認 | Go FISH CAM |
| リアルタイムで水中を自在に撮影・探索したい | 水中ドローン | ◯(有線テザー) | 8〜29万円 | FIFISH V-EVO / CHASING DORY |
| 映像ではなく魚影の濃さと水深を知りたい | キャスト型魚探 | △(魚影と地形) | 3〜7万円 | Deeper CHIRP+ 4 / ガーミン ストライカーキャスト |
買う前に知っておきたい水中カメラ3つの注意点
機種選びの前に水中撮影特有の注意点を紹介します。ここを知らずに買うと「思っていたのと違う」となってしまいます。
注意点1:水中ではWi-FiもBluetoothも届かない
最近のカメラは、Wi-FiやBluetoothでスマホと繋いで、アプリからリアルタイムに映像を確認できます。海の中をその場で確認できれば、魚がエサをバイトする瞬間も見られて非常に面白そうです。
しかし残念ながら、これらの電波は水中では届きません。カメラを沈めた瞬間にスマホとの接続は切れてしまいます。
つまり通常のカメラでの水中撮影は基本的には「撮りっぱなしにして、あとで見るしかない」ということです。狙った場所が撮れているかは、回収するまで分かりません。後述しますがリアルタイムで確認したい場合は、有線で繋ぐか、後述の水中ドローンやキャスト型魚探を選ぶことになります。
リアルタイムで見たいなら有線ケーブルを使う
対策として、ケミホタルで有名なルミカから「Bi Wireless Line」という商品が販売されています。

ケーブルの先端をカメラの防水ケースに取り付け、もう一方の端(3.5mmミニプラグ)をスマートフォンなどに繋ぐと、水中でもWi-Fiの電波が届くようになるというものです。
私も使用したことがありますが、防水ハウジングの外側に両面テープで取り付けたらちゃんと水中でwi-fiがつながるようになりました。
注意点2:糸で吊るすとカメラは回転する
カメラを糸で吊るして沈めると、水中でくるくると回ってしまい安定しません。基本的に見れる映像にはならないと思います。
対策は2つです。棒にカメラを固定して浅場の撮影に特化するか、全方向を撮れる360度カメラを使うか。この記事で360度カメラを本命として推しているのはこれが理由です。
注意点3:防水ハウジングは結露する
撮影中のカメラは熱を持ち、ハウジング内の空気が暖められます。ハウジング自体は水に触れているため低温です。つまり冬の窓のように結露しやすい条件が整います。
数分撮影していると、ハウジングの内部は結露します。これを防止するにはハウジング内に防湿シートを入れる必要があります。お菓子用の乾燥材が使えるので忘れないように購入しましょう。
陸上撮影と兼用で浅場を撮影したい:アクションカム
陸上での使用がメインで、水中撮影はおまけ程度で構わないという方向けです。
前述のとおり、糸で吊るすと回転してしまい、水中ではWi-Fiも届きません。そのため、棒にカメラを固定して浅場を撮る、あるいは自分も水中に潜って使うのが現実的な使い方になります。
棒は前述した有線ケーブルのシリーズであるBi Rodが最大11.5mまでの撮影に対応しています。
アクションカムのいいところはハウジングなしでも綺麗な水中映像が撮れること。球面レンズではないので水中でもピントが合い、そのまま使うことができます。
| 商品 | 購入 | 重量 | 本体防水 | センサー | 最大動画 | バッテリー |
|---|---|---|---|---|---|---|
| DJI Osmo Action 6 | Amazon | 149g最軽量 | 20m最良 | 1/1.1インチ最良 | 8K 30fps | 1950mAh最良 |
| Insta360 Ace Pro 2 | Amazon | 177.2g | 12m | 1/1.3インチ | 8K 30fps | 1800mAh |
この2つのメーカーから選ぶことになると思います。アクションカムの筆頭メーカーのGoProですが、暗所撮影に弱いので最初から外しました。
DJI Osmo Action 6
暗所機能は十分で、Insta360よりも軽量なのがポイント。また、本体防水が20mまで対応なのも水中撮影には注意してみたいところです。
Insta360 Ace Pro 2
DJI Osmo Actionよりも暗所撮影時のディティールの残り方やダイナミクスレンジはわずかに優れていると思います。ただし、よく見比べないとわからない程度の差です。本体防水は12mと、Osmoよりも浅いので注意してください。
水中撮影ですべての範囲を撮影したい:360度カメラ
| 商品 | 購入 | 重量 | 本体防水 | ケース使用時 | センサー | 最大動画 | バッテリー |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Insta360 X6 | Amazon | 196g | 20m最良 | 60m最良 | 1/1.1インチ | 8K 50fps | 2600mAh最良 |
| DJI Osmo 360 II | Amazon | 183g最軽量 | 10m | 50m | 1/1.1インチ | 8K 60fps最良 | 2150mAh |
釣り用の水中カメラとして、私がもっともおすすめするのが360度カメラです。
カメラを糸で吊るすと水中で回転してしまいますが、360度カメラは全方向を同時に撮影しているので、そもそも撮り逃しがなく、カメラを引き上げた後にカメラ本体やアプリで全方向の確認が可能です。
水中でカメラが回転しても、ジャイロセンサーに基づく手ブレ補正によって映像を同じ方向に向けたまま再生することが可能です。そのため再生時に映像がくるくる回ってしまうこともありません。
360度カメラはinsta360 か DJI Osmo360
この2つのメーカーのカメラは純正の防水ハウジングが用意されています。
水中は空気中と屈折率が異なるため、360度カメラをそのまま水に沈めても、ステッチング(2つのレンズの映像を繋ぎ合わせる処理)が綺麗にできません。また、360度カメラに使われている球状のレンズは、水中ではピントが合わなくなってしまいます。人間の目が水中でぼやけるのと同じ理屈です。
つまり、360度カメラをハウジングに入れずに使うと
- 綺麗にステッチングができない
- 映像がぼやける
という最悪の結果になってしまいます。
これを解決するのが水中専用の光学設計を持つ純正ハウジングです。
Insta360は水中用ハウジングをどのメーカーよりも早く発売しており、各機種によって対応ハウジングは異なります。
DJIはOsmo360、Osmo360 Ⅱどちらにも使用できるハウジングを2026年9月に発売しています。
GoProMAX2はそもそも純正ハウジングがありませんので今回は除外しています。
ちなみにAmazon等で買える安価なハウジングでは、どのメーカーでも綺麗にステッチングできないものがほとんどです。購入しないように注意してください。
またこの2メーカーのカメラは甲乙付けがたく、どちらもおすすめになります。
Insta360 X6
現行モデルはInsta360 X6になります。潜水ケースがGoProマウント対応で穴に通すだけでラインを結べるので基本的にはこちらがおすすめです。(DJI Osmo360のハウジングは三脚穴のみ)
Insta360はX2くらいのときから水中撮影には定評があります。釣りYouTuberの「突撃!ヨネスケの釣り旅ch」さんや「バラシスタ」さんは以前からInsta360を水中撮影に使用されています。ヨネスケさんに至ってはキャストして手前にリーリングしながら水中を探索するという攻めた使い方をされています。
私も最新のX6も所有しておりますが、画質や操作性に申し分なく、x5までの不満点だった「本体が縦長すぎる」という点が解消されたので、基本的にはx6をお勧めしたいです。
そしてこちらが専用の潜水ケースです。本体の世代ごとに互換性はありませんので、必ず自分の機種に合ったものを選んでください。
DJI Osmo 360 Ⅱ
2026年9月に純正防水ハウジングの販売がスタートした、360度カメラです。基本的にはInsta360との画質の差はないと考えていいでしょう。
ヒットシーンを確認したい:仕掛けに直付けするカメラ
魚のヒットシーンそのものを捉えたい場合、カメラの重量がネックになってきます。360度カメラやアクションカムでヒットシーンを撮るのは可能ではありますが、重量面や水流の抵抗の面からみてあまり現実的ではありません。
そのため軽量な専用カメラがおすすめです。
Canfish Fishing CamX
仕掛けに取り付けたり、浮き輪型のフロートで浮かせて真下を撮影するなどの使い方ができます。
85.3gなのでショアジギングのH以上のロッドだったらキャストも可能です。
Go FISH CAM
Go FISH CAMは、釣りの仕掛けに直接取り付けるタイプの水中カメラです。エサや疑似餌のすぐ近くから撮影できるため、ヒットの瞬間を至近距離で記録できます。(※おそらく販売終了したみたいです。)
リアルタイムで水中を自在に撮影・探索したい:水中ドローン
| 商品 | 購入 | 重量 | 最大深度 | ケーブル長 | 最大動画 | 稼働時間 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| QYSEA FIFISH V-EVO | Amazon | 3.9kg | 100m最良 | 100m最良 | 4K 60fps最良 | 最長4時間最良 |
| CHASING DORY | Amazon | 1.3kg最軽量 | 15m | 15m | 1080p 30fps | 最長1時間 |
海の中を自由に動き回って撮影したいなら水中ドローンです。価格は上がりますが、ここまで挙げた問題のほとんどを解決できます。有線テザーで繋がっているためリアルタイムで映像を確認でき、ライトも内蔵しています。
QYSEA FIFISH V-EVO
予算が許すならこれ一択です。最大の特徴は6軸モーターを搭載している点にあります。
一般的な水中ドローンは、進行方向を変えるために機体自体を傾ける必要があります。しかし6軸制御のV-EVOは、斜め下を向いたまま、水深を変えずに前進するといった高度な操作が可能です。
これは釣り場の様子を見るという点ではかなり効いてきます。沈み根やテトラなどのストラクチャーを、狙った角度を保ったまま横移動しながら観察できるので、地形の把握が段違いにやりやすくなります。
連続稼働は最大4時間。ライトを搭載しているので夜間の探索も普通にこなせます。昼間には見られない夜の海の様子を覗けるのは、この機種ならではの体験です。
CHASING DORY
水中ドローンとしてはリーズナブルな入門機です。最大1時間の連続使用が可能で、重量も1.1kgと軽量なので、手軽に持ち出せます。
まずは水中ドローンがどんなものか試してみたい、という方はこちらから入るのも良いでしょう。
映像ではなく魚影の濃さと水深を知りたい:キャスト型魚探
| 商品 | 購入 | 重量 | 最大水深 | 接続距離 | 稼働時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| Deeper CHIRP+ 4 | Amazon | 94g | 100m最良 | 120m最良 | 最大15時間最良 |
| ガーミン ストライカーキャスト GPS | Amazon | 75g最軽量 | 45m | 60m | 約10時間 |
「映像は見なくていいから、魚がいるかどうかだけ知りたい」という方には、キャスト型魚探をおすすめします。
キャストできるので水中カメラよりも広範囲を探ることができ、GPS付きのモデルなら水深をマッピングして自分だけのポイントマップを作ることも可能です。
ちなみにキャスト型魚探は無線で連携できるので、リアルタイムで魚がいるかどうかを確認することができます。
Deeper CHIRP+ 4
キャスト型魚探の代表格であるDeeperシリーズの現行モデルです。GPSを内蔵しており、陸っぱりからの等深線作成にも対応しています。
新しく3Dマッピング機能が追加され、等深線だけではなく、視覚的にポイントの起伏を見ることが可能です。
重量は94gです。ショアジギングやビッグベイト用のタックルであれば問題なくキャストできます。なくさないように太糸で投げましょう。
ガーミン ストライカーキャスト
魚探で有名なガーミン製で、重量は75gとDeeperより軽量です。GPS搭載モデルなら等深線作成にも対応しており、作成したマップはGarminアカウントでアップロードできるので、Garminの船用の魚探を使っている人にもおすすめです。
GPS非搭載の安価なモデルもありますが、マッピングを使いたいならGPS搭載モデルを選んでください。
まとめ
目的別に整理すると、選ぶべきものははっきりします。
- 陸上と兼用でとりあえず沈めたい → アクションカム
- 水中映像をちゃんと撮りたい → 360度カメラ(Insta360 or DJI Osmo360)
- ヒットの瞬間を撮りたい → Fishing CamX
- 海中を自由に探索したい・夜も見たい → 水中ドローン(FIFISH V-EVO)
- 魚がいるかだけ知りたい → キャスト型魚探
迷ったら、まずはリアルタイムで見たいかどうかで切り分けてください。見たいなら水中ドローンかキャスト型魚探、撮って後から見るだけでよければ360度カメラが最適解になります。
海の中が見えるようになると、同じポイントでもまったく違う景色に見えてきます。釣りの精度も、楽しさも一段上がるはずです。
