最近、影響力のある方がYoutubeなどで「すべてのリールは水にドブ漬けで洗うべき」と情報発信されているのを見ました。視聴者層を鑑みると90%は間違った内容ではないと思うのですが、大切なリールを壊してしまう可能性のある内容でした。
結論から言うと、スピニングリールには水にドブ漬けしても良いリールとダメなリールがあります。
ドブ漬けできるのは内部防水が施された機種
ドブ漬けできるのは、ダイワで言うところのマグシールド、シマノで言うところのxプロテクトが搭載された機種です。これらのリールは10秒程度ドブ漬け洗いしても浸水することはほぼ無いと思います。
問題なのはそれらの機構が施されていない低価格帯のリールです。低価格帯と言っても~1万円くらいのリールになるので決して安いものではありません。
ダイワを例に出すと、レガリス以下のリール(レブロス、クレストなど)になります(2023年現在)
浸水のダメージが致命的なのは、やはりワンウェイクラッチです。ワンウェイクラッチはリールが逆転しないようにするベアリングのような部品ですが、ここが浸水するとシャリ感がでたり、最悪固着してリールが回らなくなることもあります。
ワンウェイクラッチの浸水経路は主にローターとボディの間です。この隙間は2mm程度のもので、シャワーなどで上から水がかかる分には浸水しないようにできていますが、水没させるとワンウェイクラッチまで浸水します。
ダイワの場合、ワンウェイクラッチを海水から保護しているのがマグシールド、シマノの場合はXプロテクトです。
ダイワはワンウェイクラッチの軸となるクラッチリングと、シールドキャップ(ワンウェイクラッチを格納している部分の蓋のようなもの)の隙間にマグオイルが充填されており、水が入らないようになっています。
シマノはワンウェイクラッチ(シマノはロータークラッチという名称だが)が格納されている場所のごく僅かな隙間に撥水加工を施しラビリンス構造にすることによって防水を実現しています。
この動画で浸水実験をされていますが、両社の防水性能がよくわかるかと思います。
防水機能がないリールをドブ漬けすると壊れる
では、防水機能がないリールはどうなっているのか?
クラッチリングとシールドキャップの間には隙間が空いています。つまり、水が入りたい放題です。
前述したように、上からシャワーを掛ける程度では水は入りませんが、ドブ漬けなんてしようものなら水が一気にワンウェイクラッチまで到達してしまいます。しかも、それは真水ではなくオイルや海水の塩分、微生物や空気中のゴミなどあらゆる汚れを含んだ水です。
ワンウェイクラッチが格納されている場所や、ワンウェイクラッチ自体に通気性がないため、一度水が入ったらなかなか抜けません。結果、塩分を含んだ水に付けたまま放置することになり、錆が広がってしまう可能性があります。
そうなると、シャリ感どころではなく、固着がおこりハンドルが回らなくなってしまいます。
そもそもドブ漬けでは内部は洗えない
ドブ漬けをしていいリールは防水されているリールだと言うことがお分かり頂けたと思います。ここで気付く人もいると思いますが、そもそも防水されているリールは内部は洗うことができません、
ドブ漬けを内部を洗うための方法だと思っている方も多いと思いますが、洗えるのはせいぜいローターとボディの隙間くらいで、回転性能に関わる部分ではないのです。
そのため、私個人としては「浸水のリスクを犯してまでドブ漬けする必要はない」という考えに至っています。
正しいリールのメンテナンス方法はこれだけ
では、正しいメンテナンス方法は何なのでしょうか?
「ラインローラーを水洗いして注油」
これだけです。
実はリールの異音の9割はラインローラーによって起こります。
「釣り場でテンションをかけて巻くと異音がするのに家に帰って巻くとなんともない」という場合はほとんどラインローラーが原因だと思って良いでしょう。
高価格帯のリールはラインローラーにベアリングが入っており、低価格帯のカラーよりも錆に弱く、放っておくとだめになります。
ラインローラーは得に海水にさらされる部分です。釣行後は水洗いして注油するようにしましょう。これだけでリールの寿命は大きく伸びます。
※ダイワの一部の機種はラインローラーにマグシールドが入っているので洗わなくてOKです。
メーカーの推奨するシャワー洗浄は必要か?
ラインローラーに水をかける際に一緒にボディを洗うことは全く問題ありません。
ただし、シャワー洗浄は回転性能を上げるために行うものではなく、あくまで外装の汚れを取り除くという意味合いが強いです。
リールの水洗いに関してはSLPの動画が参考になります。
毎回洗いたくない人はこの方法で
私は年間釣行回数が100を超え、道具も車に積みっぱなしなので毎回洗うことはしていません。
そのためラインローラーにベアリングが入った機種は使いませんし、ベアリングが入っている機種はわざわざカラーに替えて使ったりしています。
オイルやグリスは流れてしまうので、釣行5回くらいに1度、分解して洗浄・注油をするようにしています。
この方法で私は同じリールを3年以上使用していますが何の不具合も出ていません。